KBL第1号日本語通訳、金希俊(原州DB通訳)氏のインタビュー記事が「BASKET KOREA」に掲載されました。

本記事は「BASKET KOREA」 2021年1月号に掲載された内容です。
なお、本記事は株式会社ウィルにより、元記事の掲載内容を翻訳しておりますので言葉の表現が異なる場合がございます。

元記事リンク
https://n.news.naver.com/sports/basketball/article/351/0000051449

掲載雑誌購入ページ
https://smartstore.naver.com/bakomall/products/5320413523



“最初”という言葉。
当事者にとって、ときめきと大きな意味を与える言葉だ。同時に多くの負担感も与える。

“始まり”という意味はそれほど大きい。
スタート地点に立った者が道を磨いてこそ、後に続く者たちが道を発展させることが出来るからだ。

金希俊DB通訳は、スタート地点に立った男だ。
KBL第1号日本語通訳として、KBLの新しい歴史を綴っているうちの一人でもある。

そのため、金希俊通訳の責任感は大きいような気がする。加えて彼はもっと大きな荷を背負おうとしていた。自身の役割が韓国バスケと日本バスケの交流に大きな影響を及ぼすと思ったからである(本インタビューは、2020年12月10日午前に行われました)


INTRO

KBLは 2020年5月27日、”アジア枠制度”を新設した。
日本のBリーグから施行することにし、中国・フィリピンなどのアジア諸国に該当制度を拡大することにした。

そして、2020年6月15日。
原州DBは “アジア枠制度”を初めて活用したチームとなった。日本の有望株である「中村太地」と契約。*타이치はKBL第1号選手となった。
(*타이치:韓国では親しみを込めて名前である「たいち」と呼ばれています)

太地とDB選手をつなぐことができる人が必要だった。そう、日本語通訳である。金希俊通訳がそこを埋めた。このようにしてKBL第1号日本語通訳は誕生した。


アニョハセヨ。まずは自己紹介からお願いします。
アニョハセヨ。私は原州DBバスケットボールチームで日本語通訳をしている金希俊と申します。
私は在日韓国人3世です。高校3年の時まで東京にいました。大学進学のために韓国に来て、延世大学(原州キャンパス)経営学科で勉強しました。卒業後は日本へ帰り、会社員として勤めていました。2年間日本で働き、昨年1年はカンボジアいました。

日本でそのまま過ごすことも出来ました。韓国にある大学に進学した理由が気になります。
高校までは韓国語がほとんどできませんでした。両親の名前だけハングルで書けるくらいでした。家では日本語だけ使ってましたし、韓国を全然知りませんでした。
しかし、私は韓国国籍を持つ者です。それなのに韓国を知らないのは違うと思いました。韓国語や韓国文化を当然勉強しなければいけないと思いましたし、韓国を学ばなければいけないと思いました。

韓国にある大学に行くのは本人にとって大きな挑戦だったように思えます。
韓国は私の祖国です。ただ、自分の祖国に行きたいと思っただけです。そのため、韓国にある大学に進学することが挑戦とは思いませんでした。

延世大学原州キャンパスで学生生活を過ごされました。それならば、トンブ(現 DB)の試合を現地で観たと思いますが。
実は原州チームの試合は一度も観たことがありません。笑
原州にプロバスケットボールチームがあることは知っていましたが、競技場で直接試合を観たことはなかったと思います。

バスケットボールに関心が無かったのでしょうか?笑
違います。バスケはすごく好きです。笑
私は中学から高校までの6年間、クラブ活動でバスケをしました。1週間に4回ほど、1回に2~3時間くらいしました。
クラブ活動をしていて、他の友達に比べてかなり上手だったと思います。センスもかなりありました。バスケの実力は悪くなかったと思います。笑




誰も経験がない、韓国プロバスケットボールチームでの日本語通訳
前に述べたように、金希俊通訳はKBL史上初の日本語通訳だ。誰も歩いたことがない道を歩いている。誰も経験しなかったことをしている。自負心は十分に持てる。
しかし、それだけ難しい。誰も経験したことのないことをしなければならないからだ。本人が直接、試行錯誤と向き合わなければならない。試行錯誤を通じて感じたことを大事にしておくべきだ。自身の後ろを歩む者たちへ多くの資料を残さなければならないからだ。

“韓国プロバスケットボールチーム通訳”とどのように関わることになったのか気になります。
私は仕事でカンボジアにいました。2020年6月に日本へ帰る計画をしました。ですが、日本に帰る1か月前に株式会社ウィルの代表である”りょんぎさん”から連絡がありました。DBという韓国プロバスケットボールチームが日本語通訳を探していると言ってくれました。
悩みました。通っている会社を辞めなければいけないし、卒業して3年ほど韓国語を使うことがほとんどありませんでした。それにバスケの知識もたくさん不足していましたし、本当にたくさん考えました。

たくさん悩んだにもかかわらず、志願した理由があると思います。
新しいことをしてみたかったです。それによって自身が成長できると考えました。人生の新しい道を拓けるだろうと。それが一番大きかったと思います。

中村太地はKBL第1号日本人選手、自身はKBL第1号通訳です。大きな意味があると思いますし、自負心も大きく感じると思います。
中村太地はアジア枠でKBLに入った最初の日本人選手です。すごいと思います。私も太地を見ながら多くのことを感じています。
ただ、私が”KBL第1号日本語通訳”というのはあまり考えませんでした。”自負心”という言葉を考えるよりも、一生懸命しなければいけないと心に決めています。

責任感や負担感は確かに大きいように思います。
そうですね。太地が出来なかったとき、通訳の責任がはっきりとあります。通訳として自分の役割を果たせなかったので、太地が出来ないかもしれません。
太地が良くなるためには私の役割も重要だと思います。私がこういう思いを持ってこそ、太地に肯定的な影響を与えられると考えます。そういう気持ちで業務に励んでいます。

初めてやってみる韓国プロバスケットボールチーム通訳です。難しかったことがあったと思います。
まず、どの程度の内容まで通訳する必要があるのか一番難しかったです。そして、監督やコーチをはじめ、コーチングスタッフ、選手たちの性格を知っていくにも時間が必要でした。結局、チームメイトと太地がコミュニケーションを取るじゃないですか。そこで、チームメイトの考えや太地の考えを同時に把握することが重要だと思いました。そして、どのように伝えるべきか一番悩みました。それが今も一番難しいです。

どんなことが一番緊急な課題だと思いますか?
あまりに多いです。全て不足しています。笑
バスケの知識を積んで、コミュニケーション方法も補完しなければいけません。具体的に日本語を韓国語に変えて伝える方法と、韓国語を日本語に変えて伝える方法です。
また、私個人としても韓国にもっと適応しなければなりません。韓国文化やDB文化に溶け込むこともやらなければいけないことだと思います。




金希俊通訳の任務、そして目標
中村太地は、2020-2021シーズン、レギュラーリーグ 21試合に平均18分51秒出場。5.6点/2.4アシスト/1.9リバウンドを記録している(12月21日試合終了時点)
イ・サンボン監督は”韓国バスケと日本バスケは明らかに違う。太地が適応するは容易ではなかっただろう。でも自信持ってやってくれているし、思ったよりも適応している”と語り、太地の適応速度を高く評価した。
だが、太地がDBの中心だと見ることはできない。韓国バスケに完璧に溶け込めていない。韓国バスケに大きなインパクトを残すために、もっとたくさんの努力をしなければいけない。
金希俊通訳もそれを知っていた。太地の成長をサポートするため、自分の役割に最善を尽くす。それが自身の任務であり、目標であると明かした。

金希俊通訳が見る中村太地はどんな選手ですか?
シューティング能力もあり、プレーも自信持ってます。ただ、ディフェンスにおいて足りないところがあります。本人もそう感じていますし、自身の足りないところを絶えず改善しようとしています。
コート外でもバスケをずっと観てます。自身の試合映像や日本バスケやNBAの映像もたくさん観ます。たまに日本の芸能を観てストレスを解消しますが、バスケ中心の生活をしている選手だと思います。

金希俊通訳が中村太地と一番多く話すことは何についてですか?
どうしてもバスケ主体の話が大部分あります。そして、韓国文化やKBLに適応する方法を話します。チームの勝利にどうすれば貢献できるか悩んでいます。だからこそ辛かったときもありました。とにかく、私は太地の韓国バスケ適応をサポートしようと思います。
コート外でもたくさん話します。日本で流行っている芸能であったり、人気があるものをよく話しますね。どうしても太地が日本を恋しくなることもあるので、日本の話をたくさんするようです。

現在、ヤンジェミン選手がBリーグに進出しました。これから、日本に進出する韓国選手がたくさん生まれるかもしれません。その選手たちをサポートしたいという考えもしたことでしょう。
初めはそのような考えもしました。しかし、今やっている通訳業務があまりにも難しい。今与えられている役割を果たした後に、おっしゃった内容を考えてみることになりそうです。

これからの目標が気になります。
太地はDBの主軸選手として成長することを目指しています。太地がそのように成長できるよう、私は通訳としての役割を果たすことが大事だと思います。

最後にファンたちへ伝えたい言葉はありますか?
試合中に太地に対して日本語で応援してくれる方が多いです。太地がそこでたくさんのパワーを貰えると言っていました。太地の代わりにファンに感謝の気持ちを伝えたいです。
また、太地は現在、韓国語の勉強をしています。韓国で自らコミュニケーションが出来るよう努力しています。ファンのみなさんが太地に韓国語で話しかけてくれたら、私も太地も全てのコミュニケーションに応えられるよう積極的に努力します。韓国のファンとコミュニケーションが上手くとれるよう頑張ります。最後に応援してくれて、ありがとうございます。

写真提供=原州DB PROMY(1枚目の写真)、KBL
BASKET KOREA ソン·ドンファン記者

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